2024年2月4日(日)、肌寒い雨の日、
熱気であふれる東京武道館大武道場にて「第7回JDKF.空手道競技大会」を開催いたしました。
国内初となるきこえない・きこえにくい選手のための「音声が見える空手道大会」として、
審判員の声による合図の指示をライトの点滅でしらせるなど、
きこえない選手が「聞こえないハンディ」を気にせず、
安心して競技に集中できるよう情報保障の行き届いた環境が作られた大会で、
2018年に開催してから今回で7回目となります。
過去最大参加者数の157名(うち34名がきこえない選手、123名がきこえる選手)の選手が出場し、
形と組手そして新たに追加したカテゴリーの団体形、それぞれの競技に臨み、熱気溢れた戦いとなりました。雨の中、応援に来られた方々の熱気も加わって一層の盛り上がりを見せてくれました。
この大会の特徴としては音声が見える工夫がされていることにあります。
3面のコートでそれぞれ違ったバージョンで音声が見える工夫を行いました。
①審判員の合図をライトで知らせる
組手の競技中、審判員が「ヤメ!」と合図の声を出すのと同時に、赤いライトが点滅します。
また競技時間が残り15秒のとき「あとしばらく」または「残り15秒」を知らせる合図と同時に、
青いライトが点滅します。これによってろう者も聴者もハンディなしに対等に試合に臨むことができます。
②審判員の手話による「勝負始め」
形や組手競技の試合開始「勝負始め」を手話で表現します。
審判員が手話を使うことで、きこえない選手も安心して競技に臨むことができます。
③形名表示ボードおよびiPadにて形名の掲示
形の競技では、大きな声で明確に、形名を伝えなければならないのですが、
この大会では手話や文字で、自分が演武する形名を申告します。
目に見える情報があることで、ろう者も聴者も対等に情報を保障することができます。
AとBコートはiPadで表示、Cコートは予め印刷した形名の用紙をボードにて表示しました。
④監督席の位置
デフリンピックの競技規定と同様、組手競技のとき、監督の位置は選手と対角線の位置になります。
これはきこえない選手が監督の言っていることを目で確認するために、見える位置、
つまり選手と対角線になるような位置が必要になります。
⑤招集開始の合図
コートに直接招集する時に、招集が始まる合図を赤と青の同時点滅で知らせます。
これらの視覚的情報保障のデモンストレーションを開始式で行いました。
分かりやすい、勉強になったという声が多く上げられました。
今回の大会では、多くの審判員が手話を取り入れたジェスチャーを行っており、
きこえない選手やきこえない観戦者にも分かりやすく、感嘆の声が多くあがりました。
大会プログラムに審判用語の手話表現を画像付きで掲載したことが功を奏したようです。
この大会を開催するたびに参加者の皆さまが、お互いのことを理解し、尊重しあい支え合う姿が多くみられ、共生社会の実現をひしひしと感じ、心より嬉しく思います。
2025年夏季デフリンピックの空手競技会場は、今回開催された会場と同じ東京武道館になります。
この「音声が見える空手道競技大会」をきっかけに、きこえない人ときこえる人が共に協働していって
デフリンピックを開催成功させて、さらなる共生社会の理想の形を社会や世界へ示し、
日本・東京におけるデフスポーツの発展普及につながれればこの上ない喜びでございます。
今後もこれまでと変わらぬ精神で大会開催の実施を続けていく所存でございますので引き続き、
応援及びお力添えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
第7回JDKF.空手道競技大会実行員会
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